17 September, 2011

チェロが待つ風景



ご無沙汰しております。
更新を怠ったまま、忙しさにかまけて2ヶ月も経ってしまいました…

さて。
そんな忙しい日々の中、三条通りを歩いていて
「京都文化博物館」の前を通りかかったときのこと。

『フェリックス 室内合奏団 第23回 演奏会 14:30~』

こんな看板が目に入りました。
「へえ~こんな所でクラシックコンサートやるなんて、素敵~」

京都文化博物館は、前を通る度に気になっていた、とても威風堂々した洋館。
そんなクラシカルな場所でコンサートなんて、
わたしにとっては夢のような取り合わせ。
そんな風に思いながらもさすがにチケットは予約制よね、
と思いながら看板を2度見すると、

入場無料

「む、無料!? 無料だって!! 入ろう!! 今何時!?」

横にいる夫に時間を確認してもらうと、丁度14時。
興奮気味に中に入ると、外観からの期待を裏切らない素晴らしい内装。
一目で、旧銀行だなと思わせる窓口のレリーフが眼前に並んでいました。






ここは、旧日本銀行の京都支店、重要文化財として指定されています。
かつて業務が行われていたであろう窓口の奥のスペースが今回の演奏ホール。
天井も高く、すぐそこの廊下が演奏者の楽屋として使われているところなど、
それこそ明治や大正の時代を彷彿とさせるシチュエーション。
おしゃれしたマダムたちが続々と入ってくる。
わたしもきちんとした格好で来ればよかった! と何度思ったことか…

チェロが待っている。
古い洋館に横たわるチェロ。
そんな風景を、わたしは今まで一度も見たことがありませんでした。
たぶん、これからも見る機会は少ないと思います。
 
フェリックス室内合奏団は、京阪神地区の大学オーケストラの首席奏者や
音大OB・OGをメンバーとして結成された弦楽合奏団。
今回のコンサートは、普段クラシックの演奏会を聴きに行きたくても
なかなか行けない小さなお子さんがいる方や、
また子どもたちにオープンスペースで音楽を楽しんでもらおうという趣旨で開催されたもの。
京都って、こういうところがあるから本当に大好き。
東京ではなかなか目にすることがありません。

コンサート開始。
プログラムは、バッハ、レスピーギ、ショスタコーヴィチによる3曲。
特にわたしが好きな「シチリアーナ」という小曲を含む
2曲目のレスピーギの「リュートによる古代舞曲とアリア 第3組曲」は素晴らしく、
ラストで感動と興奮のあまり涙が…

普段はどこにでもいそうな印象のメンバーの方々(すみません)。
しかしOB・OGと侮る無かれ、音楽を真剣に学び楽器を演奏できるということは、
もしかしたらそれによってその人の人生が変わるんじゃないかと思わせるほどの名演でした。

ヴァイオリンを演奏するフェリックス代表の方の手は、
ヴァイオリンを弾くためにあるように思えたし、
ああこの人は人生を音楽に捧げたんだな、と真摯な姿勢が伝わってきたのです。
(あくまでも推測ですが)

演奏者や指揮者と、客席が非常に近いので、
演奏者の息遣い、呼吸、緊張、額に浮かぶ汗、
また聴衆の感動、興奮が手に取るようにわかる。
(そして時々、赤ちゃんの声!)

アンコールはおなじみの曲、「G線上のアリア」で締めくくられました。

いやー、本当に良かった! 来年も行きたい。
文化力。京都にいると、本当に頻繁に感じます。

コンサートは、今年は諸事情により例年より1ヶ月余りほど遅れて開催されたようですが、
通常は8月頃に行われるようです。楽しみです。


Felix室内合奏団:http://square.umin.ac.jp/~itoh/felix.html






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